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音楽と多文化で育む、つながりと共生の未来

 

~NPO法人一期JAMの理念~

 

私たちはいま、人と人との「つながり」が希薄になりつつある時代を生きています。
AIやスマートフォンの急速な普及、SNSによる瞬間的で断片的なやりとり、そしてコロナ禍がもたらした孤立――これらは私たちの生活を便利にする一方で、「顔を合わせて心を通わせる」という、ごく自然な人間関係を見えにくくしています。

特に子どもや若者たちを取り巻く環境では、家庭でも学校でも地域でも、「安心して話せる相手」「共に過ごす居場所」が少なくなりつつあります。
大人もまた、多忙な日常や社会の分断の中で、孤独や無力感を抱えながら過ごしている人が少なくありません。

ニュースで繰り返される、痛ましい事件や孤立によるトラブル――
その根底には「人とのつながりを持てない」「誰にも理解されない」という、深い孤独や閉塞感があるように思えてなりません。

こうした時代において、人と人がリアルにふれあい、感じ合い、理解し合う機会をどう取り戻していくか。
これは、社会全体で向き合うべき重要なテーマです。

私たちNPO法人一期JAMは、そうした課題に対して、「音楽」と「多文化交流」という切り口からアプローチしています。

音楽には、言葉を超えて心と心をつなぐ力があります。
リズムを合わせる、音を重ねる、同じ時間を共有する――それは、文化や世代の違いを超えて、互いの存在を認め合う瞬間でもあります。

また、異なる背景を持つ人々と関わることは、「違いを理解し、尊重する心」を育てる土壌となります。
それは、多様性が求められるこれからの社会において、子どもから大人まですべての人に必要な力です。

私たちは、音楽をきっかけにした小さな交流から、地域や社会の再生、そして国を超えた共感の輪へと広がっていく未来を信じています。

「人と人が響き合う社会」を、もう一度、私たちの手で取り戻していく――
それが一期JAMの願いであり、理念です。

 

ジャンベがつなぐ、人・地域・世界

一期JAMの活動の中心には、西アフリカの伝統打楽器「ジャンベ」があります。ジャンベはリズムを通じて会話し、合図(コール)で始まり、合図で終わる――その演奏そのものが“コミュニケーションの場”です。

譜面がなくても世代や国籍を超えて一緒に演奏できるのがジャンベの魅力。
子どもから高齢者まで、障がいのある人もそうでない人も、誰もが対等に、同じリズムを共有できる包摂性を持っています。勝ち負けがない音楽の世界で、一体感や達成感を味わうことで、自己肯定感や他者とのつながりが自然と育まれていきます。

 

活動の広がりと、社会への貢献

一期JAMの原点は、西アフリカの伝統打楽器「ジャンベ」を使った音楽ワークショップにあります。
しかし、私たちの活動は単なる音楽体験の提供にとどまりません。音を通して人がつながり、心が開かれ、新たな一歩を踏み出す――そんな瞬間をつくることを目的に、活動のフィールドを広げてきました。

現在、私たちは以下のような多彩な取り組みを展開しています:

  • 子ども食堂・寺子屋の運営(地域の居場所づくり)
     家庭環境や経済的背景に関係なく、すべての子どもが安心して集える場所をつくっています。食事の提供や学習支援を通じて、心と体の成長を支えるとともに、地域とのつながりも深めています。

  • 学校・福祉施設・地域イベントでの出張演奏・国際交流授業
     音楽を通じて文化や多様性について学ぶ体験を、教育現場や地域コミュニティに届けています。国籍や言葉の違いを越えて、リズムでつながる喜びを伝えています。

  • ギニア共和国との連携による、現地の子ども食堂・音楽教育支援
     日本で育まれた支援の輪を、アフリカの現地にも広げています。音楽教育や食の支援を通じて、貧困地域の子どもたちに夢と自信を届けています。

  • 障がい児支援・不登校支援・高齢者施設での参加型音楽交流
     ジャンベの振動やリズムは、言葉に頼らないコミュニケーションの力を持っています。障がいのある子どもたち、不登校の子どもたち、高齢者の方々など、多様な人々が「できる自分」と出会い、社会との接点を感じられる活動を展開しています。

これらの取り組みは、それぞれの現場における課題を音楽の力で包み込み、

  • 地域コミュニティの再生

  • 世代間の理解と交流

  • 異文化への関心と寛容さの育成

といった多面的な社会貢献へとつながっています。

私たちはこれからも、音楽を通じて「つながり」と「支え合い」を育み、多様性を尊重し合える社会の実現を目指してまいります。

設立のきっかけと、これからの展望

代表理事・山崎剛司は、約7年間の個人活動を経て、ジャンベの持つ“人を笑顔にし、つなげる力”を日本社会で活かしたいという想いから、2011年に一期JAMを設立しました。

これまでに、引きこもりの若者がジャンベをきっかけに社会復帰した例、聴覚障がいの子どもがリズムの振動で音楽を楽しんだ事例、保育園や障がい者施設、高齢者施設などでの実践も数多く行ってきました。

今後は、ジャンベや音楽を通じた「コミュニケーション教育」を学校教育にも広げていくことを目指し、教育現場へのプログラム導入や教材化、またアフリカとの国際的な文化交流の架け橋としての役割もさらに発展させていきます。

 

私たちが目指す社会

一期JAMが目指すのは、世代・国籍・性別・障がいの有無を越えて、誰もが尊重され、支え合える社会です。

現代社会では、多様性がより一層求められる一方で、孤立や分断もまた深刻な課題となっています。
そんな時代だからこそ、私たちは「人と人がつながること」の価値を、あらためて大切にしたいと考えています。

私たちの活動は、教育、福祉、文化、国際協力など多岐にわたりますが、そのすべてに共通しているのは、「つながり」を生み出すという視点です。

子どもたちにとっては、生きる力や自己肯定感を育む場に。
大人にとっては、日常を超えた学びや気づきの場に。
高齢の方にとっては、地域と再び関わるきっかけに。
そして、国や文化を越えて、互いの違いを理解し、認め合う「多文化共生の実践の場」としても、私たちの活動は機能しています。

音楽には、人を笑顔にし、壁を取り払い、心と心を響き合わせる力があります。
その力を信じて、私たちはこれからも、多くの皆さまとともに、やさしさとつながりにあふれる社会をつくり上げていきたいと願っています。

山﨑たけし
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